性犯罪に対する都合の良い思い込みが再犯を生む

私は、盗撮行為を止めたいという性犯罪加害者のカウンセリングも行っています。
盗撮の常習者の話を聴く中で感じている、盗撮常習者が持っている自分勝手で都合の良い思い込みがあります。
もし、盗撮を止めなければと思ってこの記事を見ている人は、自分の思考と照らし合わせて読んでみて下さい。

思い込み1:女性は盗撮をされていることに気づいていない

継続してカウンセリングを受けている人でも、盗撮をしたいという思いが再度出てきて、そのことをカウンセラーに正直に話しながら、葛藤を重ねて乗り越えていくのですが、カウンセリングを受けない人の場合、盗撮をしたくなった時に下記のような思い込みによって再犯をしている傾向があります。

盗撮を繰り返す人が持っている思い込みとは、『盗撮は相手に触るわけではないので女性は取られていることに気づいていない』というものです。

女性は盗撮をされている時に気づいていても、そんなことをする人に声を掛けるのが怖くて泣き寝入りしているだけです。
気づかれていないだろうという認識は、盗撮をする人の都合の良い思い込みです。

思い込み2:次は気を付ければ逮捕されないと思っている

上記のような思い込みは、さらに次の思い込みを生み出す要因にもなっています。
一度逮捕されても盗撮を続けてしまうのも思い込みが関係しています。

その間違いとは、
『盗撮をして逮捕されたけど、何年間も捕まらづに続けてきたからもう捕まらないのではないか』
というものです。
女性が盗撮をされていることに気づいていない前提なので、逮捕された後も女性に気づかれずに盗撮をしていれば逮捕はされないと思っています。

思い込み3:その気になれば盗撮はいつでも止められると思っている

盗撮をしてきた人は、自分がその気になればいつでも盗撮を止めることができると思っています。

そのため、カウンセリングに来た時も犯して間もないタイミングで「盗撮はいつでも止められる」「もう再犯をしない自信がある」と言っていることがあります。

もし本当に自分の意思の力だけで止めることができるのであれば、再犯が多い犯罪として警察も警戒をしていません。

性犯罪者の特徴として、性犯罪をしていることに歪んだ自己効力感を感じている傾向があり、その認識が止めると決めたら止めることができる力があるという思い込みとつながっているのです。

カウンセリングは思い込みを改める機会

実は、盗撮をされていることを気付いている女性も多くて、怖くて拒否することができないために気づかないふりをしているということもあるようです。
カウンセリングでは、その事実を盗撮をした人に伝えています。
思い込みを正していくことも盗撮を止めるための重要な要素だからです。

思い込みを正すことが再犯のリスクを減らす

カウンセリングの中で、早い段階で自分の思い込みを認めることが出来ている人ほど再犯のリスクも低下していると言えます。
カウンセラーから聴いたことを表面的に理解したふりをするのではなく、自分の思い込みを素直に認めることによって、逮捕されるということに危機感を持てるようになるのです。

盗撮の再犯をしてしまう人は、盗撮は捕まりにくいという間違った認識を持っている傾向が強いのですが、そんなことはありません。
本来は、捕まるからやらないのではなく、他人を傷つける行為だからやってはいけないのですが、そういう気持ちが持てるようになるまでは捕まるからやらないという気持ちでもいいので、盗撮を止めることが大切です。

カウンセリングを受けることは、依存症の背景にある否認の心理を改めるためにも必要な対策です。
上記で紹介した思い込みは否認の心理から生まれるものです。
カウンセリングを受けることによって、自分の間違った願望と行為を正当化する思い込みを正していくことは、再犯をしないため必ず必要な過程です。

カウンセリングを受けない人、カウンセリングをすぐに中断してしまう人が再犯をしてしまうのも都合の良い思い込みが改められていないからだと言えるので、盗撮を止めるためにしっかりとカウンセリングを受けて頂きたいと思います。