心理療法について

心理療法とは、カウンセラーやセラピストがクライエントに対し対話、アドバイス、トレーニングなどのアプローチを行い、認知、情緒、行動に変容をもたらすことを言います。
そのため、広い意味ではカウンセリング自体が心理療法であると言えます。

心理療法にはいくつもの種類があり、相談内容によって適している心理療法に違いがあります。
例えば、無意識に焦点を当てる方法、人格の成長を目的とする方法、自己実現を促す方法という違いやじっくりアプローチしていく方法もあれば、短期的な解決を目指す方法という違いもあります。

下記に主な心理療法を紹介しているのでご確認下さい。

話を聴くからこそ心理療法が活かされる

心理療法は、悩みに対して適してものを適したタイミングで活用することによって悩みの解決を促すことができますが、カウンセラーは心理療法以上に下記のようなことを大切にしています。
安易に心理療法を用いるのではなく、下記のようなことを重視してカウンセリングを行わなければ心の悩みを解決、改善に促すことは難しいと言えます。

理解

理解とは、カウンセラーがクライエントの話をよく聴くことによって、クライエントに関する情報を得て、クライエントが悩んでいる理由や心境、悩みが生じたきっかけ、悩みの解決を妨げている理由などを明確にしていくことです。
さらにそれと同時に、クライエント自身に自分のことを再度よく理解してもらうための課程としてもこの段階を重要だと考えています。
カウンセリングが話を聴くことだと思われているのは、この段階のことが重要視されているからです。

気づき

気づきとは、話をしながらクライエントが自分の置かれている環境、現状、本心、周囲の人も思いなど、さまざまな発見や再確認をする時間です。
気づきは、理解を深めることにもなるので、気づきが生まれることによって理解という過程の質が高まることがあります。
また、気づきは人の行動の変化を生み出すこともあるので、カウンセリングは気づきを得ることができた段階で悩みの大半が解決するということも起ります。

検討

気づきだけでは改善しないほどの悩みというもののたくさんあります。
そのため、理解と気づきの次の課程として相談内容をクライエントがカウンセラーと一緒に検討していくという課程が必要になります。
これは、悩みの元となっている問題への予防、対処、対応などを考える上での重要な課程であると言えます。

情報提供、提案

情報提供、提案はアドバイスと捉えて頂いても結構です。
カウンセリングは話を聴くことが大切だという認識が強すぎて、アドバイスは良くないと教えてしまうカウンセリングスクールの講師もいるようですが、上記のような過程を経た上で行うアドバイスは、クライエントの悩みの解決の援助になると言えます。

理解をせず、クライエント様の気付きを待たず、話の内容を検討せずに行うアドバイスは良くありませんが、適切なアドバイスをは悩みの改善を進めてくれます。
ただ、相談内容によっては早急の対処が必要となる場合があるので、そのようなケースに関しては情報提供、提案を先にさせて頂くことが必要となります。

成長

カウンセリングは、主に上記の流れを繰り返しながら進んでいきます。
その過程を繰り返していく中で、どのタイミングでカウンセリングが必要なくなるかは、相談内容、クライエント様の状態によって違いがあります。
ただ、どのタイミングでカウンセリングを卒業するとしても、カウンセリングを受けて精神的に成長できていることが望ましいと言えます。

カウンセリングは、カウンセラーと一緒に自分の悩みと向き合うことによって、悩む力を養う時間でもあります。
悩みを無くすのではなく、悩む力を高めることによって、問題が再発することや問題を生み出さないこと、悩みが生じても適切に対応できることにつながります。

悩む力の向上は、その人の精神的な成長でもあるので、カウンセリングは悩む力を向上して、人生をより良く生きるために活用するものだと理解していただけると嬉しく思います。

まとめ

カウンセラーは心理療法についての知識や技術を持っていても、それが効果的なものであると過信しすぎてはいけません。

自分のアプローチ方法だけを信じて、その効果を証明するためのカウンセリングをしてしまうとクライエントに負担と不利益を与えることになります。

カウンセラーは、積極的なアプローチはカウンセラーも何かしている気分になれ、クライエントもサービスを受けている気持ちになりますが、十分に話を聴くことを怠ってしまうとクライエントに負担を掛けてしまいます。

カウンセラーは、対話でクライエントの変容を促すことのできる力を養うことを目指してほしいと思います。