カウンセリングで性犯罪加害者の話を聴いていると改善すべき点は行動だけでなく、性犯罪加害者が持っている女性に対する思考とそこから生じる認知の歪みだと感じます。
女性に対する不適切な思考を持っているため、性犯罪という行為の背景にある認知の歪みにつながっていて、これが性犯罪加害者が見直すべき認知の歪みです。
この記事では、女性に対する思考がまずは性犯罪加害者の女性に対する認知の歪みから説明していきます。

性犯罪加害者が持っている女性蔑視の思考

女性蔑視と言って、女性に対する嫌悪、女性への憎しみなどを含んだ心理が性犯罪加害者の中には見受けられます。
女性蔑視は、英語でミソジニーと言われています。

女性蔑視が強い人の特徴

女性蔑視という心理が強い人は以下のような特徴を持っています。

女性蔑視が強い人が持つ5つの特徴
  • 根拠なく男性よりも女性の方が劣っていると思っている
  • 女性に向けて女性が嫌がる、不快に感じる発言をする
  • 女性に対して偉そうな態度、失礼な態度をとる
  • 女性の気持ちや事情を理解しようとしない
  • 女性の活躍を否定したり、妬んだりする

女性蔑視が強い人は、恋愛や夫婦関係、仕事の中でも上記のような特徴が感じられる言動をしていることがあります。

性犯罪加害者の場合なら、上記のような特徴が改善されない人は再犯をする可能性が高く、実際にカウンセリングを行ってきた人の中で自己判断でカウン
セリングを中断した後に再犯をしている人には、上記のような特徴を改善することの重要性を伝えても変わらなかったというケースがあります。

女性蔑視の原点

女性蔑視という心理は、どんな環境で成長してきたかということが影響していると考えられます。

例えば、日本国民全体を考えても、大正時代くらいに生まれた男性と平成になってから生まれた男性では、女性に対する認識が違います。
そして時代背景以上に影響が大きい環境的要因は、生まれ育った家庭です。

父親が母親のことを大切にしていなかった、母親に対して不満や嫌悪を感じることが多かったというような家庭で育った男性は、母親という存在を通じて
女性に対する認知が歪んでいることが多いと言えます。

性犯罪加害者の中にも上記のような家庭環境が当てはまる人は少なくありません。

性犯罪を生み出している罪の意識と認知の歪み

性犯罪者からは女性蔑視の思考が感じられますが、この思考は性犯罪を生む認知の歪みにつながっているように感じます。
そして、その認知の歪みは性犯罪の種類によって違いがあることが性犯罪加害者の話を聴いている中でわかってきました。

私が受けてきた相談の中で、比較的多い性犯罪は盗撮、痴漢、露出、強姦で、その順に罪の意識の希薄さと認知の歪みが感じられます。

そのため、盗撮をした人が一番多くカウンセリングを受けに来ていて、しっかりとカウンセリングを継続する人も盗撮をした人が一番多いです。
その次にカウンセリングを継続するのは痴漢をした人で、露出をした人は改善傾向が見られる前に勝手にカウンセリングを中断する人が多いと言えます。
強姦に至っては、10回以上カウンセリングを継続する人は稀で、多くの人が5回以内にカウンセリングを中断したり、中断の意識を示します。

行為に違いはあれど、女性に危害を加える犯罪であるため、罪の意識を持って改善を目指す必要があることは、頭では理解できるはずなのですが、性嗜癖を含めた依存症の人達は否認の心理が強いため、自分の犯した罪を認めない傾向があり、その傾向が盗撮、痴漢、露出、強姦の順に強いのです。

盗撮をする人の罪の意識と認知の歪み

盗撮をする人は、写真を撮ることは相手に触れないし、相手が撮られたことに気づかなければ心を傷つけることはないと考えています。
その思考自体が自分の行為を正当化している歪んだものなのですが、傷つけることは罪だという意識はあるようです。
しかし、相手に気づかれていないという思い込みを持っていることが盗撮という行為を助長させています。

痴漢をする人の罪の意識と認知の歪み

痴漢をする人は、満員電車ならわからない、相手が眠っているからわからない、女性は嫌がっていないと、自分勝手な思い込みを持っている傾向が強いと言えます。
また、逮捕された後でも再犯に至る入り口として、満員電車で偶然手が女性の体に当たってしまっている状態は痴漢ではないと解釈しています。
その思考パターンから罪の意識の弱さを感じられます。
カウンセリングの中でも、自分の犯罪歴すべてを自分に問題があると受け入れるまでには時間が掛かることが多いです。

露出をする人の罪の意識<と認知の歪み/h3>

露出をする人は、相手に触れているわけでもなく、自分が恥ずかしい姿になっていることを興奮していて、露出する姿を見せられた人がどう感じているのかということを想像する力に欠けています。
性犯罪者は共感力が弱い傾向がありますが、露出の人は盗撮や痴漢をする人よりも弱く、幼児性が高い傾向があります。
そのため、カウンセリングを受けて改善していく必要性を自覚する力も弱い人が多いと感じます。

強姦をする人の罪の意識と認知の歪み

強姦をする人は、性犯罪者の中でも極めつけ共感力が弱く、自分の行為が女性に強い恐怖や屈辱感を与え、トラウマになるほどの心理的ダメージと身体的ダメージを与えたにも関わらず、罪の意識で心が気持ちが沈んていたり、後悔しているという様子が見られることが少ないと感じていています。
カウンセリングに来ていても積極的に話そうとすることはなく、改善のために取り組もうという意識が感じられないことが多いです。

再犯につながる心理的課題を解決するカウンセリングの必要性

女性蔑視の思考と認知の歪みの強い性犯罪加害者ほどカウンセリングを継続していない傾向があり、再犯をしたという報告も年間で数件入ってきます。
カウンセリングの継続率は、盗撮、痴漢、露出、強姦の順に低くなっていて、女性蔑視の思考と認知の歪みその順に強いと感じられます。

カウンセリングという自分と向き合う時間を持たずに女性蔑視の思考と認知の歪みを見直していくことは難しいと言えます。
なぜなら、自分の抱えている心理的問題を認めて改善していけるほど意思力が強い人は少ないからです。
しかし、カウンセリングを継続している人の中には、自分の問題点を受け止めて自分を見つめ直すことで変化していると感じられる人がたくさんおられます。

「自分はこのままではダメになる」と感じて取り組んでいる人もいれば、家族のサポートで継続ができている人もいますが、カウンセリングを受けている中で女性蔑視な思考が改善されると罪の意識も高まり、自分が行っていた行為の問題点も受け入れることができるようになっています。
そのような変化は、確実に再犯の可能性を低下させていて性犯罪をしていた時と同じ人には思えないと感じるほど成長がみられる人もおられます。

女性蔑視の思考も認知の歪みも性犯罪加害者が解決すべき心理的課題です。
これらが解決していないと反省と後悔によって一時的に衝動が治まっても、その衝動を我慢することができている日が続いていても時間の経過と油断とともに再犯に近づいていきます。

再犯をしないためには、心理的課題を解決を目指してカウンセリングを継続していただくことが必要だと言えます。
この記事を見て女性蔑視の思考や認知の歪みの内容が自分に当てはまると感じられたなら、まずはカウンセリングにお越しください。